ニュースでも取り上げられるようになったフードロス(食品ロス)問題は、日本のみならず、世界的な問題となっています。
世界中で、栄養価の高い食品が廃棄されており、その結果、資源の浪費や環境への悪影響が起こっています。
特に、食糧不足が深刻な問題となっている途上国では、食品ロスの問題が深刻な社会問題となっています。
また、先進国においても、食品ロスは、食料価格の上昇や環境問題の悪化など、さまざまな問題を引き起こしています。

そこで、今回は海外のフードロス事情と、行われている対策についてご紹介します。

途上国でフードロスが深刻な理由

飢餓や貧困問題が取り上げられる途上国において、フードロスが発生するのか、と思う人も多いことでしょう。

そこで、途上国でなぜ、フードロスが発生してしまうのかご説明します。

①生産・流通システムの未熟さ

途上国においては、食品の生産・流通システムが未熟であることが、食品ロスの要因の一つとなっています。農作物が収穫された後、十分な保管施設がなく、輸送中に傷んでしまうことが多く、また、食品の流通ルートが確立されていないことが、食品ロスを増大させています。

②貧困層の増加

途上国においては、貧困層の割合が高いことが、食品ロスの問題を深刻化させています。貧困層は食糧不足に悩んでおり、食料を無駄にすることはできませんが、一方で、消費者が十分な食料を手に入れるために、無理な値引きや割引販売を行う小売業者から商品を大量に購入をすることで、食品ロスを招くことがあります。

③収穫期や文化的要因

途上国においては、文化的な要因が食品ロスを招くことがあります。例えば、収穫期には大量の農作物が一度に収穫され、その後の保存が難しい場合があります。また、古くからの習慣で、豊作を祝うために余剰の食品を捨てることがあるといった事例があります。

これらの要因が重なり合い、途上国においては食品ロスが深刻な社会問題となっています。

この問題を解決するためには、生産・流通システムの改善、貧困層の支援、そして、文化的な価値観の変革が必要とされています。

特に、食品ロスの削減に向けた国際協力が必要であり、先進国が途上国に対して支援を行うことが求められています。

先進国でフードロスが深刻な理由

Shopping

途上国だけではなく、日本以外の先進国においても、食品ロスが深刻な問題となっている理由があります。食品ロスの問題に繋がる理由の一例をご紹介します。

①消費者の無駄な消費行動

先進国においては、食品を買いすぎたり、必要以上に食べたりする消費者の行動が、食品ロスを増大させています。
また、買い物の際に賞味期限の切れた商品や、見た目が悪いと判断された商品を避けてしまうことも、食品ロスを招く要因となっています。

②小売業者の需要予測の失敗

先進国の小売業者は、需要予測を行って商品を発注しますが、予想外の需要の変化が起きると、余剰在庫が発生し、食品ロスの原因となります。
例えば、天候や季節による需要の変化、売れると思って大量に在庫を抱えていたが、結局売れなかったというような、販売促進活動の失敗などが挙げられます。

③生産・流通システムの問題

高度に発達し、システム化されているように見える先進国でも、食品の生産・流通システムには未だに問題が多々あり、食品ロスの原因となっています。
例えば、生産者が収穫した商品を保管するための施設が不足している、輸送中の温度管理が不十分であるなどが挙げられます。

④消費期限の厳格化

先進国においては、消費期限の厳格化が進んでおり、それに従うことが求められます。しかし、一方で、消費期限が近い商品が廃棄されることが多く、食品ロスの原因となっています。

以上のような理由から、途上国だけではなく、先進国においても食品ロスが深刻な問題となっていることがわかります。

この問題を解決するためには、消費者の意識改革、小売業者の需要予測の精度向上、生産・流通システムの改善など、多岐にわたる取り組みが必要とされています。

積極的にフードロス問題に取り組む国々

世界では、積極的にフードロスに取り組む国があります。ルール化するだけではなく、法律として制定し、厳しく食品ロス削除に繋げています。

一例を、先進国を中心にご紹介します。


■欧州連合(EU)

EU


海外においては、フードロスの問題に対して積極的に取り組んでいる国もあります。例えば、欧州連合(EU)では、2019年に「食品ロス削減目標」という取り組みを開始し、2030年までにEU内での食品ロスを半減することを目標としています。この目標は、食品ロスの削減に取り組むための国際的な基準としても注目されています。

■アメリカ

United States

また、アメリカ合衆国では、食品ロスを減らすために、食品バンク(フードバンク)という取り組みが展開されています。食品バンクは、食品業界や一般市民からの寄付品を集め、貧困や食糧不足に直面している人々に提供する活動を行っています。この食品バンクは、無料で食品を提供しています。

このような取り組みによって、アメリカ国内における食品ロスの削減に貢献しています。

■オーストラリア

Australia

オーストラリアでは、農家が余剰な野菜や果物を販売する「Ugly Food」という取り組みがあります。この取り組みでは、形やサイズが標準外の野菜や果物を、安価で販売することで、食品ロスを削減しています。

■フランス

France

また、フランスでは、飲食店に対して、未消費の食品を寄付するように法律が制定されています。
具体的には、50人以上の従業員を抱えるスーパーマーケットや食品加工業者、ホテル、レストランなどが対象となります。また、法律には、寄付された食品の品質や安全性に関する基準が明記されており、安全な食品のみを寄付するように要求されています。飲食店側は、寄付した食品の安全性を担保するため、保存や梱包方法などに注意を払う必要があります。
この法律によって、飲食店は未消費の食品を寄付することが義務づけられており、食品ロスの削減につながっています。

■イギリス

England


さらに、イギリスでは、食品ロス削減を目的に、スーパーマーケットにおいて、商品のパッケージに記載された保存期限を延長する取り組みが行われています。
2017年にスーパーマーケットの大手チェーンであるテスコは、パッケージに記載された保存期限を延長する試みを始めました。これにより、消費期限が迫っている食品でも、その賞味期限が過ぎていなければ、まだ安全に食べることができるという考え方に基づき、消費期限を延長することができるようになりました。
この取り組みによって、保存期限が迫った商品を廃棄することを避けることができ、食品ロスの削減に貢献しています。

賞味期限切れの食品に関しては以下の記事を参考にしてみてください▼

■アジア

China

一方、アジアでは、スマートフォンを活用した食品ロス削減アプリが注目されています。このアプリは、飲食店やスーパーマーケットでの食品の在庫管理や、食品の保存期限を管理することで、食品ロスを削減することができます。

例えば、中国では、アリババグループが開発した「淘宝生鮮」というアプリが、食品ロス削減に取り組んでいます。このアプリでは、賞味期限が迫った食品を安価で販売することで、食品ロスの削減につなげています。

以上のように、海外においても、フードロスの問題に取り組みが行われており、その方法も多岐にわたっています。
その国の文化や環境に合わせて、様々な形で展開されています。

しかし、それぞれの取り組みが共通しているのは、食品ロス削減の意識を高めることであり、そのためには、消費者や食品業界の取り組みが必要不可欠であるということです。

日本の食品ロス削除の取り組みは?

日本でも、食品ロス削減に対する取り組みが進んでいます。
例えば、国内の食品メーカーやスーパーマーケットでは、廃棄される食品をリサイクルする取り組みが行われています。
食品メーカーやスーパーマーケットなどで発生する食品ロスを集め、家畜の飼料や肥料として再利用する方法があります。これを「食品ロス資源化」と呼ばれ、国や自治体が中心となって推進されています。食品ロス資源化の中でも、特に注目されているのが、家畜飼料への再利用です。家畜飼料に再利用することで、新たな資源を作り出すことができるだけでなく、農業と畜産業の双方にとって利益が生まれます。

東京都では、食品ロスを減らすために、学校給食の残飯をリサイクルし、家畜の飼料として再利用するプロジェクトを進めています。

また、消費者に対して、食品の適切な保存方法や消費期限の確認を呼びかけるキャンペーンが展開されています。毎年9月から10月にかけて実施される「食品ロス削減運動」というキャンペーンでは、国民や企業に対して、食品ロス削減の取り組みを呼びかけています。また、食品ロスを減らすための工夫や、食品ロス削減のための取り組みを紹介するポスターやチラシ、Webサイトなども活用されています。

また、昨今では、ロスオフを含め、フードロスを削除に貢献できる通販サイト等はたくさん出てきていますので、このようなサイトを利用することで、間接的、直接的にフードロス削除に貢献できたらいいですね


以上のように、海外でも日本でも、フードロスの問題に対する取り組みが進んでいます。これらの取り組みを通じて、食品ロスの削減に向けた意識が高まり、世界的な社会問題としての食品ロスの解決につながっていくことを期待します。

まずは、目の前のできることから、一つ一つ行っていきましょう。

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